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ツィゴイネルワイゼン

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詩人・佐藤正子さんの詩集に、次のような詩が載っていた。

   母を喪って
   ひろすぎる夜
   次兄の部屋が
   ふるえてる
   訪ねると
   もっとふるえ
   尋ねると
   ツィゴイネルワイゼン だった

まわりの親しい人たちが、重い病気にかかったり 突然な訃報に載っていたり、する このごろ。
自分の年齢が そういう時期に達した ということもあろうが、コロナ禍のせいかな とも思ってしまう。
ついつい、ツィゴイネルワイゼンを聴く。

胸をえぐられるような旋律の 第一部。
いまの状況を代弁しているような、なんとも悲痛な“ふるえ”である。
これだけなら、悲しすぎる。

第二部は、そっと背中をさすって なだめてくれるような・・・
ジプシーの月、これは 鎮魂歌だと思う。
頬を伝う涙が、すーっと引いていく。

突如 両の頬をしばかれるような出だしの、第三部。
激しすぎるほどの 励まし。
でも、あったかい。
激しくも、心からの応援歌だと思う。

ツィゴイネルワイゼンを聴いて、重たい いまを、のりこえたい。