YAMADA IRONWORK'S 本文へジャンプ
ロウソクの灯

文字サイズを変える
文字サイズ大文字サイズ中



BSプレミアムドラマ『ライオンのおやつ』、最終回(8月15日放映)。

マドンナさん(鈴木京香)は、ライオンの家から先に旅立ったホスピスの住人たちと同じように、さっき夭逝した雫さん(土村芳)へ、ロウソクの灯を手向ける。
出棺前のひととき、「ライオンの家」玄関前の 海の見えるテラスで マドンナさんは、田陽地(タヒチ, 竜星涼、雫さんの仮想恋人)君を相手に、つぎのように語った。

ひとの一生って 一本のロウソクのようだなぁって、思うんです。
ロウソク自体は、自分では灯をつけることはできないし、灯を消すこともできません。
一度 灯がともったら、自然の流れに逆らわず、燃え尽きて消えるのを待つしかない・・・・・・。
ロウソクの灯って、消える瞬間が いちばん きれいに感じるんですよ。
ひとも そんな気がするんです、生きることは 誰かの光になること。
自分自身の命をすり減らすことで、ほかの誰かの光に生きる。
そうやって、お互いにお互いを照らし合っているのだと、思います。

この場面は 小川糸原作の小説にはなかったから、脚本の本田隆朗氏か 脚本監修の岡田惠和氏が 推敲したのだと、想像する。

さらに脚本では ドラマのエンディングとして、「ひとは そのひとを記憶している人々のなかに 生き続ける」ことを証明するかのように、生前の雫さんの素の人柄を 彼女の短い人生に出合った様々な人たちの心の中で 蘇らせている。
学生時代の友人たちの心の中に、勤め先の同僚たちの心の中に、幼な友だちの心の中に、初恋のひとの心の中に、そして 彼女が幼かった頃に住んでいたアパートの年老いた隣人の心の中にも。

散骨を マドンナさんに託していた、雫さん。
(マドンナさん)埋葬でなくて、いいんですか?
(細い息の雫さん)土の中に静かに眠る というより、自由に舞いたくて、ここの風になって、気持ちよさそうだから・・・

カラリと晴れ上がった青空の 出棺数日後のある日、マドンナさんは 雫さんの骨が収まっている箱を抱えて、「ライオンの家」を出ていく。
その「ライオンの家」では、いまだ このホスピスの住人たちの 賑やかな笑い声が、マドンナさんの後姿を追いかける。
その賑やかな話題は、現世のホスピスの複数の住人の夢に現れた、雫さんの「ライオンのおやつ」新作発表であった。