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AIと人間

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藤井聡太さんが名人位をとった。
大谷翔平がホームランを打ったニュース以上に、うれしい。

彼は 「AI時代の新名人」 と呼ばれる。
藤井聡太は AIを超えているのか。

AIの知識は皆無に等しい人間の 「ひとりごと」 として、聞いてください。

AIは、過去から今に至るまでの人間の言葉や行動や作品やらの 莫大なデータから成り立っている。
つまり AIは、人間以上のことができるとは考えられない。

普通の人間は、過去から今に至るまでのあらゆる人間の言葉や行動や作品やらを すべて記憶することなどできない。
だから、「AIはすごい」 と言うことになる。
それだけのことだと思う。

ほんとうに新しいこと、奇想天外な思考、心が震えるような言葉や行動、これらは人間にしかできないのではなかろうか。

職人肌の父が よく言っていた。
「知識と知恵は別もんや」 と。
そう、AIには 「知識」 は膨大にあっても、「知恵」 は人間にしか生み出せない。
「知恵」 は、実体験から生まれるもの。
恐ろしいほどの量の 「知識」 を蓄えているAIでも、血を吐くような苦い経験は積んではいないだろう。
だから、AIには 「知恵」 は生み出せない、と 私は考える。

藤井聡太さんは 「人間の方が読める局面がある」 と言っている。
「対局に現れるのは指した手だけですが、指されなかった手も存在します。それぞれに意図があり、重なり合って一局の将棋になる。意図を持って指し手を選ぶという人間ならではのことを大切にしたい」 と。

凡人にはできないことだが、できる人間もいる、そのことに 私は希望をみる。
独自の真言世界を生み出した 弘法大師空海しかり、現実の惨めさを超えた絵 『ゲルニカ』 を描いた ピカソしかり、そして 「AI超え」 と表現される一手を放つ藤井聡太しかり、である。